活躍中の卒業生に聞いたパレットクラブの魅力

あずみ虫

6期イラストコース卒業

あずみむし…神奈川県生まれ。HBファイルコンペVol.16鈴木成一賞。第5回TIS公募大賞。アルミを使った個性的なイラストで多方面で活躍中。
http://azumimushi.com/

●パレットクラブ スクールに通うきっかけ

イラストレーターに対する憧れはあったんですが、普通に働いていました。でも、やっぱりイラストレーターになりたいなと思って。一人で描いていると絶対に挫折するな、一緒に絵を描く友達がほしいなと思って、パレットに入りました。パレットは開放的な感じがして間口が広かった。黄色いドアがよかったんです。

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●授業

色んな先生がいて、可能性を広げてくれて、自分の道を見つけるのによい場所になりました。台風のとき以外は全部出席して、課題も全部やっていました。課題が出る授業はやりがいがあって、特に面白かったです。聴講もよくしましたね。
安西水丸さんの批評の一つひとつがど真ん中だったことに驚きました。好き嫌いではなく、その人にぴったりの言葉をかけてくれました。原田治さんの授業は、プロとしてお仕事をしていくという視点で批評されるのが面白かったです。みうらじゅんさんの授業で感じたのは、すごく好きなことがあるのは武器になるんだなということ。そこからいろんなことが広がるんだなって。
今はアルミを切って絵を描いていますが、ブリキを切ったらパチっとはまった。それまで毎日絵が変わっていて、自分がどこに向かうのかわからなかったけど、ブリキを切ったら自分の行きたい方向が見えた。細かく描きすぎていたのもブリキがセーブしてくれて、味を出してくれるから、個性も気にしなくなった。
個性を出そうとしてもうまくいかないんです。うまく出そうとするのが間違っていたんだなって気がつきました。とても難しいんだけど、自然に自分の絵をスルっと出す感じがいい。絵ってそういうことなんだなって最近よく思います。
自分の絵を変えるのは、出会いが大事だと思います。どんな絵と出会うのか、どんな人と出会うのか。
パレットで色んな絵や人と出会うことができたのは、本当にステキな体験だったと思います。

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装幀の仕事
右 小説雑誌『星星峡』(幻冬舎)
中 『夫の火遊び』
著/藤堂 志津子 (集英社)
左 『めぐり逢えたはずなのに』
著/アレクサンドラ グレイ(ソニーマガジンズ )

●影響を受けた作家

R・Aミラー。絶版『アトランタの案山子、アラバマのワニ』(安西水丸/文 小平尚典/写真)に出てくるブリキを使ったフォークアートの人です。ちなみにうちの猫はこの人からとって「R」という名前です。あとは、アレックス・カッツ、藤田嗣治、金子國義、マティス、ホックニーですね。

●仕事

パレットの卒展でみんなで作った作品の冊子をいろんなところに送ったんです。それを見てくれたku:nel編集部の方から連絡があって、映画コーナーのイラストを描いたのが最初の仕事です。
その後は公募や売り込みなどをして『イラストレーション』のアートディレクターの大久保裕文さんのチョイスで準入選したり、2005年のHBギャラリーのファイルコンペで鈴木成一賞を取ったりしたこともあって、お仕事をいただくようになりました。

イラストのお仕事を始めて、30歳になってから、自分の絵がまた変わりました。細かいことにとらわれなくなって、客観的に見られるようになった。エゴが少しなくなってきた感じですね。
今は、NHK教育テレビのてれび絵本『えほん寄席』のアニメーションの絵を描いています。12ページくらい描くと、オペレーターの人がCGで動かしてくれます。そのほかは本の装丁が多いです。やってみたいのはやっぱり絵本。それから、かっこいい広告もやってみたいです。

●生徒さんへのアドバイス

展示などをたくさん見に行ったほうがいいですね。どこに何があるかわからないですから、出会いを大切にしたほうがいい。アルバイトなど日々のことで忙しいこともあるかもしれないけど、時間を作っていろんなところに行くことにはそれだけの価値があります。私はパレットで一流の講師の先生や、色んな絵を描く人たちに出会ったのがよかったと思っています。色んな人の絵を見て、色んなものに興味を持って、自分の好きなもの以外にも目を向けることが大切だと思います。