活躍中の卒業生に聞いたパレットクラブの魅力

板谷龍一郎

2期イラスト基礎コース卒業

いただに・りゅういちろう…大阪生まれ。パレットクラブ卒業後、ロンドンに留学。国内外でアーティストとして活躍中。現在はベルリン在中。
http://www.ryuitadani.com/

●パレットクラブ スクールに通って

大学4年生の時に留学を希望していて、雰囲気がよかったのと講師の名前を見て、ここにしようと決めました。
入学してみて、講師の先生と直接話ができて、疑問に思っていたことを聞けたのがよかった。その人に直接会わないと分からない、ということが分かったのもいい経験でした。たくさんの人の話を聞くことで、自分の好き嫌いもはっきり分かったし、自分の好みが分かってよかった。

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●授業

ヒロ杉山さんが言っていた「自分たちプロが毎日描いているのに、プロになりたいなーという人たちが毎日描いていないのはおかしい」というのが印象に残っています。上田三根子さんに聞いてコピックを試したり、コピー用紙を使ってみたり。先生がこういう画材を使っていると聞けたのがよかった。自分でもいろいろ試してみて、好きか嫌いかを知りました。原田治さんには「魚屋は魚に詳しくて、八百屋は野菜に詳しい。だからイラストレーターはどんなイラストレーターがいるのか詳しくなきゃいけない」と言われました。 銀行員になる人は銀行に詳しくなきゃいけない。当たり前の話なんだけど、とても新鮮に感じました。赤勘兵衛さんの授業で、好きなものを紙粘土でつくる課題があり「カンパリ」を作ったらすごく褒められて、調子にのって10個くらいシリーズをつくって見せに行ったこともありましたね。
また、印刷される前のものを見せてもらえたのが面白かったです。原田治さんの原画を見せてもらえたり。

●ロンドン

パレット卒業後、セントラルセントマーチン大学グラフィックデザイン学科のイラストレーションのコースに4年間、通いました。自由な学校で、映像や立体、何でもアリ。学んだのは考えて作品をつくるということ。なぜそういうふうにつくったのか。プレゼンテーションの仕方。コンセプトをつくれ、スケッチをたくさんしてアイデアを探せと言われました。学生の雰囲気が日本とは違っていて、楽しかったです。

●作品

今は、線は手で描いて、スキャナーで取り込んでPhotoshopで色を塗っています。手法は作品が大きかろうが小さかろうが一緒です。パレット時代、人間だけ描いてたら、原田さんに「風景も描けば」って言われたんです。それで描いて見てもらったら「そういうのはコンピューターで塗れば」って。そんなふうにパレットでは、個人的にああだこうだと言われたのがよかったなと思います。
昨年のテーマは「自然」です。街と物に興味があるから、ずっと描いていくと思います。基本的に自分が気になっている線、輪郭を描いている感じです。

●仕事

表参道のフリーペーパーの『アカリウム』を見て気に入ってもらって、一昨年の年末に表参道ヒルズの広報の方から依頼が来ました。その年は「街」というテーマで描いていて、仕事でも何を描いてもいいよと言われたらとにかく街を描いていました。それで表参道ヒルズの方が1周年のアートワークを探していたときに、目に留めてもらった感じです。
今は朝日新聞の夕刊のカットを描いています。『正蔵のTOKYO歳時記』という連載で、正蔵さんの話を聞いて、カットを描く仕事です。人の話を聞いて自分なりに考えて絵にする仕事が楽しいですね。
今後は、新聞が好きだから、いつか新聞小説の絵を描きたい。あとは大きい絵を描きたいなあと思っています。
今年の春には丸の内ギャラリーで個展の予定があります。

●イラスト基礎コースの講師を経験して

授業では、ロンドンの学校でやった課題を出しました。
生徒さんに言いたいのは、好きで来ているのだから、課題はやってきたほうがいい、ということ。ヒロ杉山さんも言っていたように、なりたいなら描かないといけないと僕も思います。