活躍中の卒業生に聞いたパレットクラブの魅力

やぎたみこ

8期絵本コース卒業

やぎたみこ…兵庫県生まれ。武蔵野美術短期大学卒業。イラストレーターのかたわら絵本を学び、第27回講談社絵本新人賞佳作を受賞。『くうたん』(講談社)で絵本作家デビュー。大人も一緒に楽しめる、子供のための絵本の制作を続けている。

●パレットクラブ スクールに通うきっかけ

初めて応募した講談社絵本新人賞の結果が最終選考に残れなかったので、どこか絵本を学べる学校がないか探していたところ、イラストレーション誌に掲載されたパレットクラブ スクール生徒募集の記事を発見。講師欄に昔から憧れていた宇野亜喜良さんの名前を見つけすぐに決めました。

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●パレットクラブ スクールに通って

最初はそれほど本気で「絵本作家になりたい」という気持ちではありませんでした。でも、各講師の先生の講義から目からウロコが落ちるような発見がたくさんあり、ワークショップでは「絵本というものをテーマに遊ぶ」というような課題が多かったので、発想する楽しさを味わいながら作品制作に夢中になって、充実した毎日を過ごしているうちに本気で「絵本作家になりたい」と思うようになりました。他の生徒のみんなもどんどん作品に取り組む気持ちが真剣になっていって、励ましあい刺激しあって良い仲間になりました。課題で作った作品たちはみんな絵本の種になっていると思います。

●授業

荒井良二先生の「その場で絵本のラフを作る」という授業は、時間内に描きあげないと講評してもらえないのでいつもの何倍ものスピードで必死で描いて、終わった後「頭の使い過ぎで頭が痛いね」と私を含めみんな言っていたのが可笑しかったです。
松田素子先生の「子どもの頃から大切に持っている物で絵本を作ろう」という授業では時間内に描き上げることが出来なかったのですが、口頭で内容を発表したところ話しながらお話を組み立てる手助けをしてもらえて、話の内容に入り込みどんどん気持ちが盛り上がっていったのが感動的でした。授業後、作品ファイルを見ていただき迷っていた絵の方向性を決めることが出来、嬉しかったです。
薙野たかひろ先生の「いつも家に転がっているもので絵本を作ろう」という授業で作った『ほげちゃん』という作品はその後、子どもの絵本として作り直し偕成社から刊行され「リブロ絵本大賞」「子どもの絵本大賞in九州」で大賞を「MOE絵本屋さん大賞」で3位をいただきました。課題で作っている時はただ楽しくて夢中になって作りましたが賞をいただける作品になるとは夢にも思っていませんでした。

●最初の仕事

初仕事はパレットに通ったことがきっかけではないのですが、学生時代「日本グラフィック展」に応募した作品が準入選に入ったことがきっかけで『ビックリハウス』(パルコ出版)から依頼を受けました。内容は読者の投稿作品(詩や作文)につける挿絵や高橋幸宏さんのコーナーのイラストでした。当時、生活のために主婦の友社で編集助手のアルバイトをしていたのですが、社内の編集者の人から雑誌や実用書のカットの仕事ももらうようになりました。パレット卒業後の仕事は、講談社絵本新人賞で佳作をいただいたことがきっかけになり『くうたん』(講談社)という絵本を描かせていただきました。

●仕事

最近の仕事は絵本と児童書の挿画や挿絵です。これから挑戦したいのは同じ設定で展開できるシリーズものの絵本と、絵本や児童文学のお話を書いて他の画家さんに絵を依頼することです。

●影響を受けた人

将来、絵を描く仕事につきたいと思い始めた高校生の頃から影響を受けた人を順に思い返すと、宇野亜喜良 金子國義 上野紀子 合田佐和子 パブロ・ピカソ(青の時代 ばら色の時代 アルルカンの時代)ピエール・ボナール 小倉遊亀 鏑木清方 マン・レイ エゴン・シーレ きたむら さとし ジョン・バーニンガム
きたむら さとしさんの『やねうら』『ぼくはおこった』(評論社)は絵本作家になりたいと思い始めた頃「こんな作品が作れるようになりたい」と目標になった作品です。

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『ほげちゃん』
著/やぎたみこ(偕成社)

●パレットクラブの講師を経験して

1回目の授業の時、自己紹介で、「好きな(気になる)生き物、食べ物、場所」を発表してもらい、それらを何らかの方法で調べ、3つを絡めたお話を作り最低一場面の絵をカラーで描いてくるという宿題を出しました。2回目の授業は作品の講評だったのですが、生徒の皆さんが本当に熱心に取り組んでくれた様子にビックリしました。課題の絵の他に生き物について調べて分かったことをレポートにまとめてくれたり、絵本のラフを作ってくれたり、ちゃんと練り込んで作ったのが分かるテキストを書いてくれたり、とても興味深く見せていただくことが出来、嬉しかったです。

●講師として生徒さんへのアドバイス

パレットの卒業生という立場なので、身近な存在としていろいろ聞いてもらえると良いなと思います。実践的な課題は編集者の講師の方々に任せて、私は遊びの延長で楽しく取り組める課題を考えたいと思います。これから入学する生徒さんへ。どんなスクールに入っても自分次第です。最大限、自分の身になるように利用する方法を考えてください。まずは、皆勤、課題に全力投球で。