クラークソン瑠璃
11期イラストコース卒業
くらーくそん・るり…慶応義塾大学環境情報学部卒。刺繍作品も制作。スパイラル、伊勢丹新宿店、H.P.France Usagi pour toiや米国のポートランドにて展示。SICF14準グランプリ。
http://www.ruriclarkson.com
●パレットクラブ スクールを選んだきっかけ
子どもの頃から、言葉にならない思いを絵に落とし込むことは多くて、大学も美術系に進みたかったのですが、色々事情があり断念しました。大学時代は自分にはアートの世界は閉ざされたものだと思い込み、絵は一切描きませんでした。でも、社会人になり、やはりどうしても自分のために何かクリエイティブなことをすることを模索していたのでしょうね。期限ぎりぎりか、過ぎてから申し込みました。
●パレットクラブ スクールに通って
「絵でお金をもらうことを現実的に考えて、行動している人がいるんだ」ということに本当に驚きを感じました。自分は「趣味」程度にイラストのスクールに通っているだけだ、と斜に構えていました。実際パレットクラブ卒業後、会社が忙しくなり、絵を一ヶ月に1枚描くか描かないかという状況に陥ってしまったので、まっすぐ、「イラストレーター」に向っていっている友だちがまぶしかったです。仲良しの頼れる友だちは今でもパレットで出会った友人です。
●授業
印象に残っている授業は、MAYAMAXさんの授業で、「線を書く」という授業です。大きい白い紙に順番に線を描いていくだけなのですが、「人に線を描くのを見られるのがイラストレーターだから、人前で描けなくてどうする!」というような主旨のことを話されていました。
また彼女が言っていたことで「自分らしくないなと思うものは避けて通る。」というのは響きました。世間体を気にしたり、「人並み」であることに気を取られがちな自分に気付かされました。彼女のような生き方の人が目の前にいることで、自分の価値観を揺るがされました。
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●最初の仕事
最初の仕事の依頼は、実はパレットに通う前に描いた絵でした。自らの結婚式のカードを制作したのですが、それをウェディングプランナーの方がずっと持っていらして、あるカップルが絵を使いたいということでした。「あの・・・一応イラストを描いていたりするので、使用料を頂けたらと思います。」というように手に汗を握りながら電話で伝えました。パレットに通った後は、会社の元上司の方が独立されて、その方の会社のグリーティングカードを描かせていただきました。
●仕事
刺繍のステートメント作品を発表したことから、スパイラルでSTITCH SHOWという展示やH.P.FRANCEの可愛らしいウサギ・プゥ・トワというお店のウィンドウで展示をさせていただきました。またPARCOのロゴスギャラリーでは刺繍のワークショップを開催しました。現代家族の変遷や、女性を縛り付ける「役割言葉」を題材にしていることなどから、大学での講演などもさせて頂き、貴重な体験でした。「イラスト」を意識しての制作をここ3年くらいしていませんでした。私の場合、まずイラストという枠にはまらない、アート表現をすることを自分に許したことで、世界が広がりました。遠回りをしたようですが、2014年になって、またイラストや雑貨など身近なアートを通して、女性をエンパワーしたい、ハッピーにしたい、と思うようになり、営業用のポートフォリオを作りはじめています。
最近は、大きい商業施設のバレンタイン、ホワイトデーのポスターを描かせていただくことができて、自分の絵が大きく引き延ばされてポスターになっているのは嬉しかったです。今までイラストのお仕事は全て絵具の絵です。刺繍の作品をここ3年間作っているので、絵具と刺繍のいい関係のものがつくれないかな、と思って色々試しています。オブジェも作りたいですね!
●影響を受けた人
Olaf Hajekというベルリンのイラストレーター、Maira KalmanというNew Yorkのイラストレーター。2人ともとても知的な方で、絵具の使い方が素晴らしい。あと、ボッティチェリ、ベン・シャーン、中世ヨーロッパのタペストリー。メキシコの派手な教会や、フリーダ・カーロの弱い自分をさらけ出している絵。あと、全然タイプが違いますが、木内達朗さん!
悶悶WORDS「おひとりさま」
布に刺繍
●生徒さんへのアドバイス
こんな話があります。ある弟子がブッダに尋ねます。「弟子Aは弟子入りしてすぐに悟りを開いたのに、同じ時期に弟子入りした弟子Bは、まだ悟りを開いていないのか?」と。するとブッダは「弟子Aは貧しく身一つで弟子入りした、弟子Bはお金持ちで荷物や家族が沢山あるのだ。それぞれのペースがある。それでよいのだ。」と話しました。パレットでは、子どもの頃からイラストレーターを目指してその一心で上京してきた人、大人になってから絵を描くようになった人、周囲の環境が整っている人、周りのサポートが得られていない人、絵がうまい人、下手な人、本当にいろんな人が集います。そんな中、人と比べず、自分の中のアーティストを大事に、可愛がってあげながら育てていってあげてください。