活躍中の卒業生に聞いたパレットクラブの魅力

タムラフキコ

4期絵本コース卒業

たむら・ふきこ…長野県飯田市生まれ。大学受験失敗後、京友禅染め工房、アニメーション背景会社、主婦を経て、書籍、雑誌、広告などを中心に活動中。安西水丸氏に師事。HBギャラリー副田高行賞(2006年)。TIS会員。
http://www.tis-home.com/fukiko-tamura

●パレットクラブ スクールを選んだきっかけ

実際に一線でお仕事されてる方々が講師だというところが目を見開かれるような魅力でした。雑誌『イラストレーション』に広告が載っていて、ここに行きたい、と強く思いました。

●パレットクラブ スクールに通って

活躍されている憧れの方々に、直接お話を伺えることはとても刺激的でした。私が通っているころは、課題が出るような授業は少なかった気がします。長新太さんが作品から想像していたのと違って、すごくダンディというかおいそれと近寄れない感じで驚きました。土井章史さんがお話を聞く形の授業で。「人間嫌いだ」とか言っていたし。そのころも年に何冊も絵本を出されていて、「最初のダミーはほんとにとんでもないものを描いてそれを編集者とすりあわせて落ち着かせて落ち着かせて あの絵本になる」とおっしゃっていて最初の構想はどんだけ!と頭が白くなりました。ある日、「行ってくる」と行先も告げずに旅に出る話、とか。こんな巨大な人も一応一人の人間の大きさをしているのだな、と思ったりしました。授業終了後、下のバーで隣に座らせていただいたのですが、膝がガクガクしていたことを覚えています。沢田精一さんの「セイタカダイオウ」の話も印象に残っています。原田治さんのお話はぼんやり暮している私たちには気付けない現実の話。

講師の方のエネルギーに圧倒されたこともありました。

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風邪気味で今日は休もうかなと思ったのですが、出てみたらその日の講師、今江祥智さんのパワーに血の巡りがよくなり授業が終わったら元気になっていました。今江さんは「自分の世代でつながりなさい」とおっしゃっていました。

授業の中で書きとめたりしたこともたくさんあったのですが、どれかが役に立ったというより、やる気をもらったり近づいていきたいイメージに絵がついた、ということが私には大きかったと思います。

●イラストレーターを目指して、絵本コースを受講

イラストレーターになりたい、という気持ちと、絵本を描きたいという気持ちの両方がありました。好きな絵の中に絵本を描いている人が多かったというのが、理由でしょうか。15才ぐらいのころに、たまたま 赤羽末吉さんのお話を聴いたことがあって、ずっと絵本作りにも興味がありました。最初に賞らしきものに入ったのも、ピンポイントの絵本の賞です。絵本コースに水丸さんもいらっしゃいました。パレットクラブの後で水丸塾に行き(ほんとは先に荒井良二さんの塾に行ったのですがそこで水丸塾のチラシを見つけたのです)、そこで自分の絵が決まっていったのでほんとに感謝しています。今考えると先にイラストレーションコースに行くべきでしたね。

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『読書人の雑誌 本』
装画/タムラフキコ(講談社)

●最初の仕事

デザイナーの方に持ち込みで観ていただき後日仕事をいただきました。「文学界」の目次と本文のイラストレーションです。なんでも自由に描いてそれを文章と合わせる、というのが驚きで楽しかったです。持ち込みは怖かったですが、途中から考え方を変えて「自分はじっとしてて向こうから見つけに来てほしいなんて不遜だ。こちらから見てもらいに行く方が向こうは手間がかからないし、適切だ」と思うようにしていました。それでも緊張してすごく沢山行ったとはいえませんが。HBギャラリーやチョイス、TISの公募展などに出すようになって、絵を観たデザイナーさんに装画のお仕事をいただいたのが「夕子ちゃんの近道」です。

●最近の仕事

書籍の装画、雑誌の表紙やカットなどを描いています、広告はたまに。講談社のPR誌「本」の表紙を3年ぐらい描いています。絵本はまだやったことがありませんが児童書は数冊やらせていただきました。「ともだちは、サティー!」「タイムストーリー5分間だけの彼氏」「のっぺらぼうのおじさん」など。今、NHKおはなしのくにの「うらしまたろう」をやっています。

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『夏の果て』
著/岡康道、装画/タムラフキコ(小学館)

●これからやってみたい仕事

人物を自分なりにもっと書くこと、映画に係わる仕事をしていきたいです。それから子供のころから模様が好きなので模様を作ってイラストレーションにしたいと思います。

●影響を受けた作家

安西水丸、茂田井武、スズキコージ、赤羽末吉、アンドレ・フランソワ、レオポルド・ショヴォー、デュボアザン、クートラス、アンリ・ルソー、今村紫紅。

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『夜間中学へようこそ』
著/山本悦子、装画/タムラフキコ(岩崎書店)

●生徒さんへのアドバイス

この人に観てもらいたい、認めてもらいたいと願う先生や友達を見つけられたら上手くいかない間もあきらめずにやり続けられると思います。実をいうと私がパレットクラブに通い始めたのが40歳なんです。若い時からイラストレーターになりたい希望を持っていたし通信の講座を受けたりしたけれど本当の仕事に近づくやり方は解りませんでした。今思うとそのまま流れて行ってしまいそうな時期だったと思います。パレットクラブに出会えて本当にラッキーでした。安西水丸さんの言葉ですが「人生は短い、やりたいことがあるならやってみるべきです」。