戸屋ちかこ
14期イラストコース卒業
とや・ちかこ…京都出身、幼少期バンコク、東京在住。TIS公募、ペーターズギャラリーコンペ、ザ・チョイス、UNKNOUN ASIAなど、受賞歴多数。出版・広告を軸に、個展開催、フェア参加等、国内外で精力的に活動している。TIS会員。
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赤坂サカスカフェスペース壁面イラストレーション
●パレットクラブを選んだきっかけ
小さい頃から絵を描くことは好きだったのですが、大学では経営学を学び、一般企業に就職しました。でもその後、転職や上京するうちに、イラストレーターになりたいという気持ちが芽生えてきて。当時は何の知識もなく、その分野にくわしい友達もいなかったので、まずは学校に行こうと。いくつか調べた中で、自分が知っていた原田治さんと上田三根子さんが教えているところ、ということでパレットクラブに決めました。
オリジナル作品 2018
●授業
授業内容は多彩です。課題があったり、自由に描いたり、想像力を膨らませるような授業だったり。私はワークショップよりも、課題の作品を講評していただく授業が好きでした。どの先生も改善すべき点を的確に指摘してくれますが、同時に良い点も言ってくださるので、落ち込むことなく、絵を進化させることができたと思います。課題はいつもスッと描けたわけではありませんが、とにかくすべてを提出しました。他の人の作品の講評を聞くのと、自分の作品を講評していただくのとでは全く違います。心臓が飛び出るくらい恥ずかしいけれど、出すと出さないとでは大きな違いになって出てくるはずです。実際、熱心な人はどんどん上手になっていきました。
上田三根子さんは授業で2回お会いしただけですが、作品を覚えてくださっていてすごく励みになりました。パレット卒業生でもある吉岡ゆうこさんには、授業後にポートフォリオを見ていただき、具体的な営業先の提案など、生徒の立場をわかっているからこそのアドバイスをいただきました。また、飯田淳さんの「描いた絵を切ってレイアウトし直す」という実技からもヒントをもらいました。私は単純な構図しか考えられないタイプなので、今でもたまに構図に迷った時は、絵を切ってみたりしています。
●パレットで役立ったこと
ゲストでいらしたワニブックスの編集者さんがポートフォリを見てくださることがありました。その時聞いた、編集者目線での見やすいファイルの作り方のお話は、仕事をし始めてみて、改めてこういうことかと分かってきました。またその授業で、既存の雑誌ページに自分のイラストをレイアウトしているクラスメートがいて、編集者さんがそれを褒めていたんですね。自分でも試してみたら、すぐにお仕事の依頼がありました。デザイナーさん以外の方には、イメージしやすく喜ばれるのかもしれません。
●最初の仕事
クラスメートの中にはすでにイラストの仕事をしている人もいたので、アドバイスをもらって在学中に売り込みを始めました。最初の仕事は女性誌のカットで、わりとすぐにお仕事ができたのでこれはいけるかなと思ったのですが、そこから順調には続かず・・・甘くはないですね(笑)。イラストだけで生活できるようになったのは最近で、3年前にバイトを辞めました。仕事が途切れてまたバイトしなければダメかなと思っていると依頼がきて、なんとなくつないでいる感じです。
オリジナル作品 2018
●影響を受けた人は?
網中いづるさん。ファッション雑誌や絵本など幅広いジャンルで女性らしさを表現されていて憧れます。網中さんには、昨年TISで賞をいただいたのですが、そこで自分と全然違うところが良いと仰っていただき、ちゃんと違う表現ができているのだとすごくホッとしました。網中さんの作品が好きなので、もしかしたら世界観は似てしまう部分はあると思うのですが、「私にはこういう書き方はできないのよね」と言ってくださって嬉しかったです。
オリジナル作品 2018
●最近の仕事
初めて装画の仕事をいただきました。昔はイラストレーターは雑誌に絵を描くのがメインだと思っていて、パレットに通っている時に、装画など他の分野があることを知りました。ただ、簡単にできることじゃないと思っていたのか、自分の売り込みの視野に入っていなかったんですね。今は雑誌以外の仕事もしたいので、ここから広がるといいなと思っています。積み重ねですよね。ここ2年やっているのは、ペットフード会社のヴィジュアルで、DMや公報誌の連載です。
●これからやってみたい仕事
ストーリー性のある絵を描いているので、絵本や教育番組のアニメーションのお仕事をやってみたいです。パレットでも絵本コースをよく聴講していました。作家性をより強く出していきたいと思っているので、挑戦したいです。
●イラストレーターになって
私はオリジナルの絵を描くのも好きなのですが、イラストの仕事はたくさんの人が関わって、自分ひとりではできないものが出来上がるので、それがイラストレーターの醍醐味というか、とてもやりがいがあります。仕事の過程では、たくさんの人が関わるがゆえの大変さもあるのですが、終わってみると、あれだけの人が関わってこれができたんだ!という達成感を分かち合える。それを一度味わってしまったらもうイラストレーターを辞めることはできないですね(笑)
『夢と気づくには遅すぎた。』
著/堀真潮(キノブックス)
●これからパレットに通う生徒さんへのアドバイス
私にとって幸運だったのは、未熟な自分よりも前を走っているクラスメートがいたことです。仕事を始めたばかりの人、キャリアは長いけれど方向性に迷っている人、デザイナーなど、いろいろな経歴の持ち主がいましたが、毎回、授業後にお酒を飲みながら会話した人たちとは今でもよい関係が続いています。皆さんにもぜひ仲間を見つけてほしいと思います。それと、先生にポートフォリオを見ていただける機会があれば、チャンスです。積極的にいきましょう! 課題も絶対にやったほうがいいですよ。
影響を受けたもの
定番の文様事典やウイリアムモリスの本、インテリア雑誌と世界観が好きなクリスチャンラクロワのノート、タイの象のぬいぐるみ。
「ほぼ自分の中にある願望を描いているため、描きながら登場人物の服や装飾をつくっていきます。繊維研究者と洋裁講師だった両親の影響もあり、柄が好きで参考にしています。また、描いている動物は保護活動のSNSなどのネットで見つけた子からイメージすることが多いです。その他は今の流れを取り入れたく、ファッションやインテリアの洋雑誌をよく購入します」。