活躍中の卒業生に聞いたパレットクラブの魅力

つぼいじゅり

9期イラストコース、13期絵本コース卒業

つぼい・じゅり…デザイン会社に勤務後、絵本作家・イラストレーターとしてフリーに。『たまらんちゃん』が「MOE絵本屋さん大賞2017」等に入賞。

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●パレットクラブを選んだきっかけ

広島のデザイン会社でデザイナーとして働いていましたが、学生の頃から絵を描く仕事をしたかったので、いつか東京に出て夢を叶えたいと思っていました。仕事が一通りできるようになり、デザインが楽しいと思えるようになった頃、毎号買っていた『イラストレーション』(玄光社)にパレットクラブの広告を見つけました。講師陣が魅力的で第一線で活躍している方が沢山いたので、そこで勉強してみたくなり、築地の学校に歩いて行ける所に引っ越しました。最初はイラストレーターになりたかったのでイラストコースに入り、その4年後に絵本も勉強したくなり、絵本コースも受講しました。

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『いもむしパン』
(PHP研究所)

●パレットクラブに通って

憧れのクリエイターの方々の話を生で沢山聞けたのがとても刺激的でした。上京して、知り合いもいない中だったけれど、同じ志を持った仲間が沢山できてよかったです。他のコースを聴講できたのも魅力的で、よく通っていました。講師の方々の実際の仕事のエピソードは、高いプロ意識を持って仕事に取り組む力になりました。

●授業

和田誠さんの「10人、自分の絵を好きと言ってくれる人がいたら、それと同じ数だけ、好きじゃないと言う人もいる」という言葉が印象的でした。授業や売り込み先で、時に良い反応がもらえずに落ち込むこともあったけれど、和田さんのその言葉があったから、自分の描く絵や世界観を大切にし続けることができたように思います。安西水丸さんの言葉も大事なものになりました。装丁家の坂川栄治さんの装画塾で描いた絵を水丸さんに見せた時、「こういう優れた力を持った人との縁を大切に」と言われました。そのお言葉があり、デビュー作『たまらんちゃん』の装丁を坂川さんにお願いし実現することとなりました。編集者の松田素子さんの絵本ラフを発表する授業では、クラスメートを楽しませたい一心で描いてきた作品をみんなが喜んでくれてすごく嬉しかったことを覚えています。その時の作品がデビュー作『たまらんちゃん』になりました。

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『たまらんちゃん』
(金の星社)

●最初の仕事

イラストの方は、広島の専門学校時代からよく応募していたコンペで賞をとったのがきっかけで、音楽雑誌の連載を始めたのが最初です。絵本は、パレットの授業で考えた『たまらんちゃん』が、初めての絵本の仕事です。授業の後、講師の松田素子さんのワークショップに通ってダミーを見ていただき、パレットの卒展の時にクラスで作った作品集に載せていた『たまらんちゃん』の絵が金の星社の編集者の目に留まって、出版が決まりました。最初のアイデアから出版されるまでに7年の年月を経ています。

●最近の仕事

絵本とはまた違う、小学1~2年生向けの幼年童話『ふしぎな いどうどうぶつえん』(くさの たき・作/金の星社)の挿し絵の仕事を手がけました。カラーとモノクロを合わせて50枚以上描いたのですが、毎ページどんな構図でどのように絵を描いていくか考えるのが、とても楽しいお仕事でした。また最近は、保育課を備えた学校と保育園での実習型の絵本イベントや、図書館での絵本イベントもとても楽しく取り組ませていただいています。

●絵本作家/イラストレーターになって

イラストの仕事は短距離走のように瞬発力が必要で、絵本の仕事は長距離走でマラソンを走っているようなので、持久力が必要です。それぞれに合った力がないといけないと思います。イラストの仕事では、実際に完成した印刷物を手に取った時が楽しいです。絵本は、絵本が出版されてからイベントで読み聞かせをした時に、子供たちが笑顔で楽しんでくれているのを見るとすごく嬉しいです。

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紙芝居『おにぎり さんきょうだい』
(教育画劇)

●これからやってみたい仕事

まずは、今取り組んでいる絵本を一冊一冊、想いを込めて世に出していきたいです。その上で、絵本で描いているキャラクターがグッズになったり、映像になったりしたら、どんな世界が広がるんだろうというワクワクした気持ちがあります。

●影響を受けた作家

小学生の頃に使っていた缶ペンケースに描かれた太陽のキャラクターの絵。専門学生以降では、ロドニー・アラン・グリーンブラット、ディック・ブルーナ、伊藤正道など。あらゆるクリエイターから刺激を受けています。

●生徒さんへのアドバイス

自分探しをしている時、色々な先生の言葉に出会い、思いがけない発見もあれば、自分はこれでいいのだろうか、と迷うことも沢山あるかと思います。そんな中でも、自分が「これだ!」と、直感的にひらめいたものを信じて、自分だけのオリジナルの道を突き進んでいってください。

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『ふしぎな いどうどうぶつえん』
作/くさのたき 絵/つぼいじゅり
(金の星社)