太田侑子
19期イラストコース卒業
奈良県在住。金沢美術工芸大学大学院修了。書籍、広告、雑誌を中心に活躍中。
https://ootayuko.jimdoweb.com/
●パレットクラブを選んだきっかけ
パレットに入学する前は油絵で作家活動をしながら高校で非常勤講師をしていました。当時、作家活動に行き詰まりを感じていて制作が苦痛になってきていました。でもどうしても描くことをやめたくなくて、なんとかいい方法はないか、、と考えていた時、学生の頃から気になっていた装画のことを思い出しました。でもそもそもその仕事って誰から貰えばいいのか、イラストレーターってどうやったらなれるのか全く分からなかったので、教えてくれそうな学校をネットで探しました。その中で沢山の講師の方と繋がりができるパレットに魅力を感じ、通うことに決めました。
『7袋のポテトチップス:食べるを語る、胃袋の戦後史』湯澤規子/著(晶文社)
●パレットクラブに通って
お題があると描くのが何倍も楽しい、ということを知りました。それと通っている間、毎週課題の絵を描くので自然と技術も向上しましたし、限られた時間の中でいかに完成度の高いものを提出できるかなど、考えるのがすごく楽しかったです。私は当時京都から通っていたのですが、新幹線や高速バスの中で課題のことや今後の自分のことをじっくり考えたり、本や映画を見たり、すごく充実した時間を過ごせていた記憶があります。あと同じ志の友人ができたことは、今でも心の支えになっています。
●授業
自分でできていると思い込んでいたことが実は全然できていなかったり、自信満々で見せた作品が実はひとりよがりのものだとわかったり、たくさんの先生方とお話しさせていただいて気づくことがすごく多かったです。中でも忘れられないのが、「特に言うことがない、、」というような講評のお言葉でした。その言葉を聞いた時は、すごく悔しくて腹が立ちました。でも帰り道に冷静になって考えると確かにその通りなのかも、、と。きっちり描けていたけど、それ以上でも以下でもないから特に言うことが無かったんだろうなと、すごく納得できたんです。今でも感想のもらえない絵にならないよう、いつも気をつけています。
『飛び跳ねる教室・リターンズ』千葉聡/著(時事通信社)
●最初の仕事
きっかけはイラストレーション誌のザ・チョイス年度賞優秀賞をいただいたことです。それを見てくださった講談社の編集者さんから連絡をいただいて、初めて文芸誌の扉絵を担当させていただきました。どう描けばいいのか全く分からなくて、ずっと冷や汗をかいていたのを覚えています。。その後、鈴木成一装画塾に参加させていただいたことをきっかけに、鈴木さんから初めての文庫本と単行本のお仕事をいただきました。
●パレットで役立ったこと
自分の絵を見てくれ!という気持ちも大切ですが、クライアントが何を求めているのか、どんなものをイメージされているのかをしっかり汲み取り考えること。すぐに結果が出なくても諦めずコツコツやること。たくさんあります。
●最近の仕事
いただく仕事の8割が文芸で、あとの2割は広告や雑誌の挿絵などを描いています。
●イラストレーターになって
大変なことは、いまだに制作費の交渉の仕方やメールのやり取りがよく分からないことだったり、クライアントにがっかりされないかいつも不安なことだったり、子育てと仕事と家事の両立とか、、たくさんあります。嬉しいことは、たまに編集者さんやデザイナーさん、作家さんからお褒めの言葉や、喜びの連絡をいただけることです。それと純粋に描くことが楽しいです。描き続けられていることが、本当にありがたいです。
『♯真相をお話しします』結城真一郎/著(新潮文庫)
●これからやってみたい仕事
絵本にすごく憧れています。3歳の息子にいろんな絵本を探して読んでいるのですが、ジャンルの多さに驚きました。あらゆる技術とアイデアがギュッと詰まっていていつも感動しています。子育てが少し落ち着いたらチャレンジしたいと思っています。
新国立劇場『エンジェルス・イン・アメリカ』ポスターイラスト
●影響を受けた作家は?
アンドレア・マンテーニャ、リュック・タイマンス、ジェームズ・アンソール、デイビッド・ホックニー、多賀新、水木しげる、加藤伸吉が好きです。
川崎汽船 広告イラスト
●生徒さんへのアドバイス
継続は力なりです。納得いくまで描きまくってください。